教本づくりから始めて、営業の会話をAIで言語化したロープレbotを現場で使うまで

NITOH株式会社は不動産投資の営業を行う会社です。最初の相談は、散らばったマニュアルを集めて社員教育を一つにまとめることでした。部署ごとの教本をAIで作り、全社の教本にまとめる作り方を一緒に組み直し、いまでは社内教本とテストまで自社で作成しています。そこから、社内で営業のロールプレイング(ロープレ)botを作る取り組みへ進みました。営業の会話をすべてロジックツリーとしてAIで言語化し、AIが顧客役を演じながら会話の先を予測します。いまは現場の営業担当が毎日このbotで練習しています。
導入前
- マニュアルや書類が部署ごとにばらばらで、社員教育を一つにまとめる仕組みがなかった
- トップ営業の会話の技術が、本人の頭の中にあるだけで社内に広がっていなかった
- 社内にAIを毎日の仕事で使う環境がまだなかった
いま
- マニュアルだけにとどまらず、社内教本とテストまで、AIを使って自分たちで作れるようになった
- 営業の会話をロジックツリーとして言語化し、AIが顧客役を演じるロープレbotができた
- 現場が毎日練習し、その声でbotを直し続ける流れができた
散らばったマニュアルを、新人が一人で読める教本にAIで作り直すことから始めた
最初の相談は、各部署に散らばったマニュアルを集め、社員教育を一つにまとめたいというものでした。社長と担当者がそれぞれのパソコンでAIを使い始め、最初に一つの営業部のマニュアルを、新人が一人で読んで使える教本にAIで書き直せるかを試しました。
書き直しの手順とAIへの頼み方(プロンプト)のひな形をお渡しし、各部署はそれを使って、自分たちで部署ごとの教本を作りました。いまではマニュアルだけにとどまらず、社内教本とテストまで自社で作成しています。
全社の教本にまとめると中身が抜け落ちた。原因をほどき、作り方を組み直した
次に、部署ごとの教本を一冊の全社教本にまとめようとしたところ、20ページほどあった内容が3ページほどに縮み、項目も最初と最後しか残らないことが起きました。原因は、「まとめて」「統合して」という頼み方があいまいで、AIが要約してしまうことでした。
そこで、代表の部署の教本を型にして目次と書式を決め、部署ごとに残すべき項目を先に決めてからAIに頼む形にしました。出力の前には、原文のまま残っているか、数字や期間が抜けていないかをAIに確かめさせます。会社の理念は一つにまとめ、部署ごとに考え方が大きく違うところは分けて残します。全社教本は、会社のこと、部署の全体図、仕事の基礎知識、各部署の仕事、用語集などの付録という構成にしました。
成約した通話も断られた通話も材料にして、AIが顧客役になるロープレbotを作った
教本と並行して、社内で営業のロールプレイング(ロープレ)botを作る取り組みを始めました。AIが顧客役を演じ、営業担当がその相手と会話を練習する仕組みです。材料には、成約した通話だけでなく、断られた通話も含めた過去の録音を使い、実際のお客様に近い顧客役を作っています。
会話には目指すゴールをひとつに定め、botの採点も、このゴールに向かえているかを基準にしました。
トップ営業の会話の読みをAIで言語化し、ロジックツリーにした
トップ営業は、相手の返事を数手先まで読みながら話しています。私たちはこの読みをAIで言語化し、営業の会話をすべてロジックツリーにしました。問いかけごとに想定される返事と次の一手を持たせ、AIが会話の先を予測します。
ツリーは一本道ではなく、お客様の反応で枝を行き来しても、最後はゴールへ戻る地図として作りました。話がそれたときには、戻し方を練習中にその場で示します。
電話の場面によって会話の目的は変わるため、ツリーは場面ごとに分け、練習する場面を選べるようにしました。練習中は画面の横にツリーが出て、聞けた項目が光り、達成度が上がっていきます。誰でもゲーム感覚で会話の型を身につけられるようにするためです。
いまは現場が毎日練習し、その声でbotを直し続けている
営業の現場の皆さんに直接デモを見ていただき、たくさんの意見をもらいました。「実際よりアポが取れすぎる」という声を受けて、難しさを現実に近づけています。
練習は経験の長さでは分けず、会話の段階で分けています。まず言語化された会話の型を覚え、その先はAIの会話分析をもとに、お客様ごとに合う話し方をつかんでいきます。さらに、AIが一人ひとりの会話の癖を見て、合う顧客役を割り当てる形に作り直しています。
いまは営業担当が毎日このbotで練習し、気づいた点を記入表に書き込んでいます。その声をもとに、顧客役と会話の流れを直し続けています。
会社紹介
- 会社名
- NITOH株式会社
- 事業
- 不動産投資用マンションの営業
AI OSI URI が行ったこと
- 社長・担当者と一緒に、AIで部署ごとの教本を作り、全社教本にまとめる頼み方を組み直しました
- 成約・失注の録音をAIで読み込み、トップ営業の会話をロジックツリーにして、顧客役のbotを作りました
- 現場の意見をもとに、botを直し続けています